最新ニュース GMO各社レンタルサーバー・ドメインの値上げ「維持調整費」とは
GMO関連のサービス「ロリポップ」「ConoHa WING」「ムームードメイン」などで料金が1〜2割値上げされることになりました。「サービス維持調整費」として加算される形になるようです。各社の案内を含め、少し詳細を調べてみました。
GMO各サービスの案内はいずれも同じ内容
「ConoHa WING」では下記のように案内がありました。
【重要】[ConoHa]「サービス維持調整費」のご案内
昨今の急激な国内電気料金高騰、為替変動、世界的な半導体不足などの背景をふまえ、コスト削減に取り組み、ご提供価格の維持に努めてまいりましたが、自助努力だけではコスト増を吸収できない状況となりました。
つきましては、不本意ではございますが、サービス品質の維持および向上を目的として、 ConoHaにて提供している各種サービスにおきまして、2023年2月1日以降の新規ご契約・契約更新で発生するご請求に対し、10~20%程度の「サービス維持調整費」をご請求させていただきます。
https://www.conoha.jp/wing/news/?btn_id=wing-news–news_wing-news&ap=2015052855
1〜2割は大きな値上げです。
「ロリポップ」や「ムームードメイン」でも同様の方針です。
- ロリポップ:2023/01/18 価格改定のお知らせ
- ムームードメイン:【重要】「サービス維持調整費」の導入に関するご案内
レンタルサーバーの電気代
電気料金の高騰は確かに身近に感じられますが、レンタルサーバー運営上、電気代のコストはどのくらいの割合を占めるのかが問題です。
総務省の古い資料ではデータセンターの電気代のコスト割合は約15%とあります。
参考資料:https://www.soumu.go.jp/main_content/000067990.pdf (16ページ目 出典:総務省「データセンター利用に関する国内外の動向に係る調査研究」)
その上で下記の記事を見ると、昨年は電気代が6割を超える値上がりをしているようです。
電力料金が6割高騰、データセンターの値上げは不可避
NTTデータがDCの運営で支払う2022年5~6月の電力単価(キロワット時当たりの料金)は、1年前から6割を超えて値上がりしたという。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02096/063000007/
仮に15%の内、6割増ということは全体の9%ほどということになります。レンタルサーバー会社にとって間接的なものかもしれませんが、少なくともデータセンターにて約1割ほど電気代が増えているということは確かなようです。
レンタルサーバーへの為替・半導体不足の影響
為替や半導体不足(による値上げ)の影響は海外からの機材の購入、またドメイン費用に関するものだと思います。
上で確認したデータセンターのコスト配分を見ると、機器費が約55%なので、購入先によっては影響もかなり大きなものになると思います。
為替のみを考えた場合、仮の計算をすると、機器費用の約半分強の30%を海外に依存し、為替が1ドル120円から130円になった場合(8%円安)の場合は、全体で約2.4%コスト増となります。
現在は為替もある程度戻っていることや、半導体不足も日本国内での供給強化など、将来的に改善の可能性はありそうですが、落ち着くまで時間はかかるのだと思います。
結論として値上げする根拠は十分と言えそう
あくまでも仮の計算しかできませんが、およそ1〜2割程度の値上げは妥当なのかもしれません。
ただ光熱費の料金値上げの肌感覚に乗じて、かかるコストをそのまま料金に上乗せされているという印象もなくはありません。内部でのコスト配分やいずれAIを導入して人件費を減らすなど十分解消できそうな部分にも思えます。
書かれてること以外にGMO独自の値上げの理由もあるのかもしれません。
エックスサーバーの対応
エックスサーバーも同じ状況だと思いますが、GMOの発表を受けて下記のような案内をしています。
価格維持方針に関するお知らせ
現在、同業他社様において、ホスティングサービスや独自ドメインに対して、維持調整費などの名目による追加費用のアナウンスが広く行われていることもあり、多くのお客様から当サービスの値上げに関するご心配の声やご質問をいただいておりますが、当サービスにおいては、現時点では値上げや、維持調整費などの名目による追加費用を請求する予定はございません。
なお、特に独自ドメインなど、卸値が固定で年々上昇している、円安の影響を大きく受ける、すでに原価に近い販売価格で提供しているなどの理由から、企業努力によるコスト削減余地の小さなサービスもございますため、今後は価格維持が難しくなる可能性がございます。
また、提供元のプロモーションにより割引価格で提供している独自ドメインにつきましては、
https://www.xserver.ne.jp/news_detail.php?view_id=10193
プロモーションの終了や更新に合わせて価格を変更する場合がございます。
書かれている通り、当面値上げはないそうです。
昨年の時点で電気料金の大幅に値上げされており、さらに今は円高傾向にあるので、今のタイミングで料金の値上げは少し違和感もあります。
またドメインについては、そもそも年間の費用も比較的少額で、利益はあまり期待できない部分だと思います。為替の影響を受けやすいことも十分理解できます。
長いデフレから脱却する意味で、国民も値上げに対して少しずつ抵抗がなくなっていくのかもしれませんが、こうしてきちんと努力している会社は評価されるべきだと思います。
ただエックスサーバーも、本当に値上げが必要な段階では、しっかり利用者にも納得できる形で値上げしていってほしいとも思います。
GMO各社レンタルサーバー・ドメインの値上げ「維持調整費」とは
- ConoHa、ロリポップ、ムームードメインなどGMO関連のサービスでの今年2月からの値上げ
- 電気料金の上昇、為替変動、半導体不足によるもの
- いずれも妥当といえる値上げ
- エックスサーバーは値上げしない方針を発表