コラム レンタルサーバーで障害が起きた場合
以前に比べ、レンタルサーバーの障害はあまり起こらなくなりました。ただその分、稀に起こると思いのほか対処に困るかもしれません。日々のメンテナンスによる人的な操作ミスや、不正アクセスは今後も絶対になくならないため、障害が起こった場合やそのための準備についてまとめます。
具体的に何が原因でレンタルサーバーの障害が起こるのか
障害が起こる原因は、人的なものや自然災害など様々なものが考えられます。どれも確実に防ぐという方法はないかもしれません。
- 不正アクセス
海外など人為的な攻撃によって障害を起こすもの - アクセス増加によるリソース不足
人気サイトや短い時間にアクセスが集中する場合 - ネームサーバーの障害
URLでサーバーへアクセスするための名前解決ができない - 接続プロバイダーなどネットワークの障害
サーバー側、もしくはユーザー側のプロバイダーに障害が起こる場合 - サーバーのハードの障害
ディスクなど機材の故障 - サーバーのソフトの障害
システムの不具合など - サーバー管理会社の人的ミス
ケーブルの操作ミスやメンテナンス時の処理の間違い - データセンターやケーブル網での災害
- 送電線など電気会社の障害
障害によってどのような被害が考えられるか
サイトが表示されない
ほとんどは一時的なものですが、やはり機会損失にはなります。障害の間、大切なお客様にサイトが表示されないのは第一印象も悪く大きな損失になるかもしれません。また復旧後、データの破損が起こるケースは稀ですが、例えばサイトにコメント機能などがあると、表示されなかった時間帯の書き込みができなくなります。その間のデータが破損していることと同じと言えます。
データの破損・消失
残念ながら過去にも大手サーバーでデータが消失した実例があります。バックアップなどもあるはずですが、全体のシステムに不具合があると、処理的に全て削除されてしまうこともあるようです。普段もサーバー管理会社からメンテナンスのアナウンスがありますが、常にこうしたリスクが含まれているのかもしれません。
情報の漏洩
不正アクセスでサーバーに障害を与える目的として、単純にサーバーを停止するだけであればまだ安全な方です。停止させた後の復旧作業を狙ってサーバーを乗っ取り、内部の情報を取得することが狙いの場合もあるようです。
損害の補償がないこと
基本的にどのレンタルサーバーもよほどの理由がない限り被害に対するサーバー会社からの補償はありません。直接的な被害だけでなく、その影響で第三者に損害を与えるという可能性も十分にあります。損害の影響範囲などは事前に想定しておきましょう。
サイトが表示されない場合の確認方法
実際に障害が起こった場合、サーバー管理会社は大変な労力がかかりますが、利用者にできることは状況の確認以外ほとんどありません。以下の順に確認してみてください。
- 自分のネットワークを確認する
所有する他の端末でアクセスしたり、Wi-Fiなどのルーターの設定を確認します。そもそもサーバーの障害かどうかを確認します。 - 関連するサイトを全て確認
同じレンタルサーバーで運用している他のサイトがあれば、そのサイトが表示されているか確認します。また他者のサイトでも構いません。レンタルサーバーの中でもどの範囲の障害かを確認します。 - サーバーの管理画面を確認
管理画面が無事に動いている場合は、公開ページだけの問題になります。もし管理画面もアクセスできない場合はより深刻です。 - サーバー会社のサイトを確認する
レンタルサーバーのサービスを紹介するサイトも停止している場合、サーバー会社全体の問題になります。その場合は次の「5」も確認できないかもしれません。 - 障害・メンテナンスページでメンテナンスがないか確認
各レンタルサーバーには「障害・メンテナンス」専用のページがあります。このページに関連する記載がないかを確認します。 - サーバー会社のTwitterなどSNSを確認
問題が大きい場合などアナウンスの手段はSNSしかありません。ここで状況を逐一配信してくれる場合があります。 - サーバーのIPアドレスにpingを打つ
サーバーそのものやそれをつなぐネットワークが動いているのかどうかを「ping」を打つことで確認できます。Macの場合、ソフト「ターミナル」から「ping ホスト名(ドメイン名)」または「ping (IPアドレス)」とすると一定時間ごとに反応があります。全く表示がなければ、サーバかそこへのネットワークが動いていないことになります。pingを停止するには「Control」ボタンと「C」を押します。 - ネームサーバーを確認する
nslookup、digで正しいIPアドレスにつながっているか確認します。またネームサーバーもpingを打つことで動作しているか確認できます。
もし自分のサーバーにだけで障害がある場合
ここまでの確認で自分のサーバーにのみ障害があるという場合は、すぐにレンタルサーバーに問い合わせてください。障害専用の問い合わせ先を設置していることもあります。
他でも障害が出ている場合
もし一定の範囲で障害が出ている場合は、およそ1時間ほどSNSなどを確認しながら様子を見ます。サーバー会社も障害の解決に労力を割いているため、サポートにも負担をかけるのはあまり得策ではありません。
復旧後に確認すること
ほとんどの場合、長くても数時間でサイトは復旧されると思います。復旧された後、ざっと下記のような点を確認してください。
- サイトの表示に問題がないか
- 管理画面、FTPの動作確認
またどのような障害だったのかサーバー会社からのアナウンスを待ちましょう。そのアナウンス次第でそのレンタルサーバーを引き続き利用して良いか判断できます。
事前にレンタルサーバーの障害に備える
障害に対して利用者にできることは限られますが、事前に準備したり障害に備えることはできます。
- バックアップ機能があるサーバーを選ぶ
- レンタルサーバーのSLA(サービス品質保証)について確認する
- Twitterなどサーバー管理会社のSNSをフォローする
- レンタルサーバーの連絡先を確認しておく(障害時に確認できない場合があるため)
- サーバー上に個人情報など重要なデータを置かない
- パスワードを厳重にする
中でもパスワードの管理は重要です。障害を起こさずにこっそりとサーバー内に侵入し内部情報を監視、閲覧されるという可能性もゼロではありません。特にWordPressを利用している場合などは厳重に管理してください。難しいパスワードにするだけでなく、パスワードを知る人員の管理なども重要です。
障害はサーバー会社が解決してくれる
起こってしまった障害やそれによる被害は誰もカバーしてくれません。ただ障害そのものについてはレンタルサーバー会社が必ず解決してくれます。利用者は何もする必要がありません。もし専用サーバーなど自社で持っているとこうした場合に途方もない労力とコストが発生します。
この点はレンタルサーバーを利用する大きなメリットです。ある程度は自ら備えておく必要はありますが、このレンタルサーバーのメリットを享受して、私たち利用者はサイト作りに注力しましょう。