用途別 ポートフォリオサイト
アーティストやデザイナー、カメラマン、建築家などの場合、過去の実績を掲載するポートフォリオサイトが必要になります。ただし実績の中には公開できない作品もあるので、単に掲載するだけでなく、サイトの仕組み作りも重要になります。この記事ではこれから自らポートフォリオサイトを作ろうとしている人に向けて、利用できるサービスやレンタルサーバー、またその仕組みについてまとめています。一般の面接などで使用する履歴書とは異なるのでご注意ください。
ポートフォリオサイトとは
一般に「ポートフォリオ」というと、カメラマンが大きな冊子(紙)として持ち歩いたり、それをデータ化した場合もPDF形式にして送るなどの方法が取られていました。これには二つの意味があると思います。
- 見せ方としてのクオリティが重要であること
- クローズされたもの(非公開)であること
このため、きれいな冊子や印刷物をファイリングしたり、それをきれいにレイアウトしたPDF形式で見せるということでこの二つを実現していました。
これがサイトになると、見せ方のクオリティはクリアしやすいと思いますが、一部をクローズさせるというのが少し難しくなります。
また検索させるためのSEOやドメインの取得など、サイトとしての特徴や苦労も抱えることになります。そこにはメリットだけでなく、画像が勝手に利用されるなど負の側面も含みます。
ポートフォリオサイト制作時の条件や考えるべきポイント
- 公開できる実績をデータで用意する
画質のよい大きな画像が必要ですが、同時に容量を軽くする工夫も必要です。 - 非公開の実績についてどのように掲載するか
- 検索エンジン対策
画像だけでなく、実績を紹介する文章・テキストについてはしっかり検討が必要です。 - 名刺などで容易に伝えられるよう独自ドメインを取得
- お問い合わせ方法を検討
独自ドメインでのメールアドレスを作成するかどうか - サイトは自分で作るのかどうか
自分で作るには限界があるため、プロに依頼して作ることも検討
各業種ごとのポートフォリオサイトの準備の仕方
アーティスト、デザイナーの場合
- 作品が紙ベースの場合などデータ化がネックになることがあります。通常はスキャナーやデジカメで撮影します。プロのカメラマンに依頼するなどの場合は手間になります。
- デザインの場合は、データ化が容易な場合も多いと思いますが、どの部分を見せるか、またその説明について事前に検討します。
カメラマンの場合
- デジカメの作品であれば、素材としてそのまま使用できます。ただしオリジナルのままでは容量が重すぎるため、それを抑える作業が必要です。
建築家の場合
- 設計図やイメージスケッチ、パースなどを事前にデータ化しておくようにします。
- 実際の建築物のデジカメ写真も利用できるか確認しておきましょう。
ポートフォリオサイト共通の注意点
- サイトは検索エンジンによる検索が重要になります。その際必要になるのは、画像よりもテキストです。いずれの業種でも画像の準備だけでなく、必ずそれに添える文章の準備も進めてください。
- 公開時だけでなく、普段の運用(ページの更新時)にも「データ化」を作業の一部にできるよう検討してください。
- ポートフォリオサイトでは、画像を大きく表示するサイトが一般的ですが、サイトは表示速度がとても重要なため、大きい画像の設置はマイナスに働きます。特にスマホなどではネックになります。
いかに容量を小さくするか、ページ全体であまりたくさんの画像を使用しないなどバランス感覚も必要です。 - 掲載する実績画像は悪用・盗用されることも十分に考慮しましょう。サイトで公開する限り、これは決して防ぐことはできません。もし守秘義務契約などで公開できないものはサーバーへのアップは厳禁となります。
- もし画像が存在しない業種や、あっても一切掲載できないという場合は、著作権フリーの画像を探し、イメージとして利用できるようにします。ちなみに著作権フリー素材というのは、無料で勝手に使えるという意味ではありません。購入した場合に自由に掲載できるという意味です。
- 実績の紹介頻度があまり多くない場合、サイト内にブログを設置することをおすすめします。定期的に記事を更新すると検索エンジン対策になります。
ポートフォリオサイトの目的は「お問い合わせ」
ポートフォリオサイトの目的は、ただの展示ではありません。それを見て問い合わせが来るように誘導することが本来の目的です。
デザインをお洒落にしすぎると、サイトの使い勝手がわからなくなり、いざ問い合わせしたくてもどこから問い合わせたらいいのかわからない、ということが起こりえます。閲覧者も暇ではないので、ぱっと見つからなければ、問い合わせしようとは思いません。
いかに実績で興味を持たせ、簡単に問い合わせができるかが大切な流れになります。この点はサイトを作る際に常に気に留めておきましょう。
また依頼方法が煩雑な業種の場合は、その旨記載した説明ページもあると安心です。ただ基本的には問い合わせのハードルにもなるため、まずは気軽に問い合わせをしてもらい、改めて案内するという方がスムーズです。
ポートフォリオサイト以外に必要なもの
- メールアドレス(メールサーバー)
できれば独自ドメインのメールアドレスがあれば、使い続けられるため便利です。もしない場合はGmailがおすすめです。 - SNS
閲覧者がポートフォリオサイトを一度見ただけで依頼を決定するということはほとんどありません。そのため、SNSアカウントを持っておくと、フォローしてもらうなどし覚えてもらいやすくなります。
この二つは必須と考えてよいと思います。ポートフォリオサイトを作る前にあらかじめ準備しておきましょう。
ポートフォリオサイトとしてSNSを利用する
同時にポートフォリオサイトを持たずに「SNS」を代わりに利用するという可能性についても検討しましょう。最も手軽でコストもかかりません。また実績の追加が簡単で、フォロワーが集めやすいなどメリットも多くあります。
掲載した情報をクローズにすることはできませんが、InstagramやTwitterだけでシンプルに業務を行うというのも一つの有力な方法になると思います。
おすすめのレンタルサーバーやサービス
ご自身でレンタルサーバーを利用し一からサイトを制作するというのは少し難しいかもしれませんが、ポートフォリオサイトとして利用できるサイト制作サービスや、ポートフォリオ専用のサービスもあるため簡単に比較してみます。
ポートフォリオサイトに必要な条件
- 独自ドメインを設定できる
- 一部のページにパスワードをかけられる
- 表示速度が快適
- 広告は非表示
- クオリティの高いデザイン性
一通りのサービスを確認しましたが、残念ながらこれら条件を全て満たすサービスは見つかりませんでした。特に海外のサービスで便利そうなものも「3」の表示速度が課題になります。
ただもしも「パスワード」が不要な場合、つまり非公開の情報は掲載しないということであれば、下記サービスがおすすめです。一から作成するため手間はかかりますが、低コストで自分だけでサイトを作ることができるサービスです。
Ameba Ownd
- 広告やロゴを外すため 9,600円 / 年
- パスワード機能なし
- メールサーバーなし
STUDIO
- 広告非表示 980円〜 / 月
- デザイン面はクオリティが高く、細かく調整可能
- パスワード機能なし
- メールサーバーなし
参考:その他検討したもの
- Wix デザイン面や操作性に難あり
- Adobe Portfolio、Portfoliobox 機能などは問題ないが表示速度がかなり重い
各サービスの比較表
Ownd | STUDIO | SNS | プロへ依頼 | |
---|---|---|---|---|
ドメイン利用 | ○ | ○ | × | ○ |
パスワード | × | × | × | ○ |
表示速度 | ○ |
○ |
○ | ○ |
広告非表示 | ○有料 | ○有料 | × | ○ |
デザイン性 | ○ | ○ | × | ○ |
メールサーバー | × | × | × | ○ |
メールサーバーの有無も重要な点です。ほとんどがあくまでも「サイト」としてのサービスなので、メールサーバー機能はありません。別途用意する必要があります。
自らの世界観をサイトでしっかりと表現したい場合
どうせならきちんとポートフォリオサイトを作成したいという場合は、やはりプロに依頼する形になると思います。基本的にここまで記載した課題は全てクリアできるはずです。
依頼するメリットとしては、サイトのクオリティだけでなく、独自ドメインとメールアドレスを正しい形で利用ができるという点も大きいと思います。最も重要な問い合わせ窓口がきちんと確保できます。
依頼する際の注意点
- 独自ドメインは自ら取得する
- レンタルサーバーも自ら取得する
ただし制作者の意図も重要なため提案されたものと併せて検討する。エックスサーバーであれば全く問題ありません。 - 運用(実績の追加など)は自ら行えるようにする
一般的には「WordPress」というツールを提案されると思います。 - 公開できないものがある場合の仕様についてよく確認する
ページだけアクセス制限をかけ、画像へのアクセスが可能になってしまうなどもありえます。 - 画像のコピーなどがしづらいような工夫をしてもらう(右クリックや長押しを禁止するなど)
- 依頼と同時にSNSの利用も開始し、サイトからリンクしてもらう
ポートフォリオサイトにもエックスサーバーがおすすめ
ポートフォリオサイトでは、必ず画像が多く利用されます。サイトのデータ転送量・通信量のほとんどは画像です。サイトへのアクセスが増えれば増えるほど、サーバーへの負担になり、場合によってはサイトを停止するなどもありえます。
エックスサーバーであれば、これらの問題はほぼ回避できます。転送量も無制限で、処理速度を左右するリソースも、個々のユーザーごとに保証されています。メールアドレスもしっかりとしたバックアップ体制があり安全に利用できます。
もしご自身でサイトを構築できる場合や、プロへ依頼するという場合もエックスサーバーの利用がおすすめです。