スペック解説 バックアップ・RAID
レンタルサーバのデータも絶対安全とは言えません。管理会社の人為的なミスや外部からの攻撃、システムのバグなど、データが消えてしまう原因はたくさん考えられます。普段使っているパソコンと同じように、レンタルサーバでもバックアップについて考えておきましょう。
ストレージのバックアップ機能「RAID」
HDDやSSDを複数使い、データを保存する「RAID」という方法があります。
これは「一つのファイルを置く」という場合に、ファイルを1箇所ではなく複数の場所に置くという仕組みです。これは何も意識せずに自動でバックアップされるイメージです。
RAIDにもいくつか種類があり、今はRAID10というバックアップ方法が主流になっているようです。RAID1「ミラーリング」とRAID0「ストライピング」を組み合わせたものです。
「ミラーリング」とは
ミラーリングは冗長化という意味です。1つのデータを複数のドライブに保存し、一方が壊れても大丈夫な状況を作ります。こちらはバックアップとしての機能になります。
「ストライピング」とは
ストライピングはバックアップの仕組みではありません。一つのデータを分割し、複数のドライブに分散させ保存します。複数のドライブに同時にアクセスし、読み書きの速度を上げることが目的です。
「RAID10」は気づかないうちにバックアップできて、さらに読み書きが速くなる仕組みってことだね。
でも複数のドライブの保存して、さらに速度を上げるために分散するって、一体何台のドライブを使うの?
そうなんだよね。実際に何台使うかはそれぞれのサーバー会社が設計するものだからわからないけど、一つのファイルがたくさんの場所に分散されていることになるね。
さらに他の場所にコピーする
レンタルサーバが行うバックアップの一つとして、データを一括で他の領域にコピーするという方法もとられています。異なる領域というのは、単純に隣に置かれたサーバーにコピーする場合や、災害時に備え全く離れた地域のサーバーにコピーするなど方法も様々です。
ただこの方法はコピーするデータが多いため、1日1回一定の時間をかけて行う形になります。
コメントが書き込まれるブログサイトのように、サーバーの内容が常に書き換わっている場合、このバックアップでは一部の最新データを失ってしまう可能性はあります。
じゃあ、バックアップ機能の中でも保険と考えておくとよさそうだね。
そう、だから常にバックアップされるRAIDと組み合わせているんだろうね。
サーバーのステージング
少し変わったところでは、さくらのレンタルサーバが「Snapup」という第三者のサービスを利用し、バックアップ&ステージングというバックアップ方法を採用しています。これはサーバのバックアップだけではなく、サーバのコピーを作り、そこでリニューアル作業などができるようになっています。
少し操作がわかりづらい点がネックですが、WordPressの移行などにも対応しているため、使いこなすととても便利なサービスです。
レンタルサーバでのデータ消失とその保証
サーバの「利用規約」ページなどを見ると記載がありますが、レンタルサーバでデータの消失があってもほとんどの場合、保証はありません。
かつて実際に大手のサーバで大規模なデータ消失もありました。また管理者のミスで一つのサーバのデータが消えたということもあります。レンタルサーバのスペックとしてバックアップ機能は必須と考えてください。
復旧方法も必ず確認
バックアップはデータの消失以外に、自らがデータを間違って編集した場合にも利用できるかもしれません。そのため復旧方法も確認しておいてください。
復旧には料金が発生する場合もあるよ。バックアップ機能の説明だけでなく、復旧についても目を通しておこう。
バックアップ機能も疑う
念のため、月に一度あるいは年に一度でも自分のパソコンにサーバのデータを保存(ダウンロード)しておくと安心です。あるいはアップする前のデータをきちんと保管するという方法でもよいと思います。
バックアップのシステムにバグがある場合や、大規模なサーバ攻撃、地震などの災害があれば、さすがにバックアップも意味がありません。そうなった時に全く復旧するデータがないというのは困るので、最後の安全策として考えてみてください。
バックアップのまとめ
- バックアップ機能にはいくつかの方法がある
- データの消失は保証されない
- 復旧方法を確認する
- 自分のパソコンにもバックアップ