スペック解説 レンタルサーバーにおける「CPU」とは。その役割と選び方について

CPUは「頭の良さ」に例えられます。サーバー内の様々な処理を一手に引き受けています。そのためCPUの処理速度はサイトの表示速度に影響する重要なものです。

コンピューターの頭脳であるCPUとは?

CPU(Central Processing Unit)は文字通りコンピューターの「中央演算処理装置」というもので、コンピューターの処理を行う「頭脳」のような存在です。様々なプログラムの命令を解析し、それに応じた操作を行います。

このためコンピューターの動作のスムーズさや処理速度は、このCPUの性能によって大きく左右されます。例えば画面上でマウスを動かす、ウェブサイトを閲覧する、動画を再生する、全ての操作はCPUが行う命令によって可能になります。

CPUの機能とその役割

CPUは主に次の3つの機能を持っています。

  • 制御機能
    コンピュータの全体的な動作を管理します。命令を解析し、実行する順序を決定します。
  • 演算機能
    加算、減算、乗算、除算などの算術演算と、AND、OR、NOTなどの論理演算を行います。
  • 記憶機能
    プログラムの命令やデータを一時的に保存します。

CPUはコンピュータの「頭脳」、メモリは「デスク」、そしてストレージ(SSDやHDD)は「引き出し」です。

引き出しとなるストレージは情報(ファイルやアプリケーション)を長期保存する場所です。
CPUはここから情報を取り出し、メモリ(デスク)に置いてから、上記のようなさまざまな処理を行っていきます。

CPUはサーバー内の全ての作業を行うため、とても重要なスペックになります。

レンタルサーバーにおけるCPUの重要性

ウェブサイトを閲覧するとき、その背後でサーバーは膨大な処理を行います。それらは全てCPUによって制御され、サーバーのCPU性能がその処理速度を大きく左右します。

レンタルサーバーのCPU性能が高ければ、たとえ同時に多くのユーザーがアクセスしても、ウェブサイトはスムーズに動作し、情報は迅速に表示されます。

逆にCPU性能が低ければ、ユーザーが多い場合にウェブサイトの表示が遅くなり、最悪の場合ページが表示されなくなってしまいます。

CPUの種類と選び方

CPUにはさまざまな種類があり、その性能は大きく異なります。主なスペックは次のとおりです。

コア数

CPUのコアは一つのCPU内に複数の独立したプロセッサが存在することを意味します。一つのCPUに複数のコアがあると、複数の処理を同時に行うことができ、全体的な処理能力が向上します。たとえば、現代の一般的なデスクトップPCやラップトップには2コアや4コアのCPUが搭載されていますが、サーバー用のCPUでは8、16、32コアといった多くのコアを持つものもあります。

クロック速度・クロック周波数

クロック速度は、CPUが1秒間に行うことができる命令の数を表します。単位はヘルツ(Hz)で、現在の一般的なCPUのクロック速度はギガヘルツ(GHz)のオーダーです。たとえば、2.5GHzのCPUは、1秒間に25億回の命令を処理することができます。ただしクロック速度だけでCPUの性能を判断できません。コア数やアーキテクチャなど他の要素もCPUの全体的な性能に大きく影響します。

アーキテクチャ

これはCPUの設計の種類です。Intelの「Core」シリーズやAMDの「Ryzen」シリーズなどが有名です。これらのアーキテクチャは、古いものと比べて一命令あたりの処理能力が高く、またエネルギー効率も良いとされています。

具体的なCPUの表記

このサイトを設置しているサーバのCPUは下記のように書かれていました。

Xeon E5-2640 v4 ( 2.40GHz ) x 2

「Xeon E5-2640 v4」とは

CPUの名称・型番です。メーカーIntelのスペックページにあるスペック表を見るとコア数は10。これを書いている時点ではAmazonで価格は11万円ほどでした。「E5」はミドルレンジサーバ用。「E3」であればエントリー、「E7」であればハイエンドです。

「2.40GHz」とは

クロック周波数のことで、同じ条件であれば数字が大きいほど速いことは確かです。ただしこの数字だけで他のCPUと比較はできません。

「x 2」とは

コア数を表し、CPUが2つ設置されていることになります。マルチCPU(マルチプロセッサ、デュアルコアCPU)などと言い、CPU内のコア数の数が多いほど、処理速度が速くなります。

CPUとGPUの違い、GPUの将来性

コンピュータにはCPUの他にも「GPU」(Graphics Processing Unit)というものがあります。これは「グラフィック処理装置」で主に映像や画像の描画を担当しています。CPUとGPUは、どちらも重要な役割を果たしますが、その仕組みと使われ方は大きく異なります。

CPUは一般的な計算と制御を行うのに対し、GPUは一度に大量のデータを処理することに特化しています。これは、例えば1つの映像フレームを描画するとき、何百万ものピクセルを一度に計算しなければならないためです。

現在GPUはAI(人工知能)や機械学習の分野で重要性が増しています。これらの分野では大量のデータを同時に高速に処理する能力が求められるためです。またビッグデータの解析や高度な科学技術計算でもGPUが活躍しています。

ウェブサイトを表示することが目的のサーバーにおいては、今のところCPUで十分ですが、いずれAIの搭載などGPUが重要な役割を担う日が来るかもしれません。

量子コンピューターとその可能性

GPUと同様、今はまだウェブサーバーやメールサーバーに利用されることはありませんが、「量子コンピューター」という存在もあります。

量子コンピューターは、新しい型のコンピューターシステムで、量子力学の法則を利用して情報の処理を行います。従来のコンピューターのCPUはビットという情報の単位を扱います。ビットは0か1の二つの状態のどちらか一方をとります。量子コンピューターの情報の単位は「量子ビット」または「キュビット」で、これは0と1の状態を同時に持つことができます。

こうして説明していても混乱するね。

このキュビットの性質により、量子コンピューターは複数の計算を同時に行うことが可能となり、一部の問題については従来のコンピューターよりも非常に高速に計算を行うことができます。例えば、素因数分解や最適化問題などがその例です。

さらにGPUと同じく、量子コンピューターは機械学習や人工知能の分野でも大きな可能性があります。大量のデータを高速に処理する能力を利用して、より高度なAIの開発を進めることが期待されています。

CPUを見て判断できること

このCPUのスペックを見て判断できるのは、サーバが設置されたおよその時期と、比較している他のサーバがあれば、相対的な違いがわかるという点です。

性能によってサイトの表示速度などに影響しますが、あくまでもその速度に影響する要因の一つでしかないため、このCPUの性能を見て絶対的な速度として判断できるものではありません。

複数のレンタルサーバを比較していると、同じようなCPUになることが多いと思うよ。

へえ、なんでだろう?

レンタルサーバが求められるスペックとコストが似通っているというのもあるし、サーバが置かれているデータセンターが同じってこともありそうだね。

じゃあ、比較することはないのかな。

ただ時間をかけて見ていると、たまに見慣れないCPUが出てくることがあるよ。CPUを変えるっていうのはコストやリスクを抱えての判断だろうから、そういう場合に改めて比較するといいかもね。

CPU まとめ

  • CPUのメーカー、型番、個数などを確認
  • スペックから速度を判断しづらい
  • 複数のサーバに絞り込んだ際に内容を比べる
  • 見慣れないCPUがあれば比較する