スペック解説 ドメイン

サイトを作る際、一番重要なのはドメインかもしれません。サイトの置き場所を伝えるための「住所」のような存在です。ただ実際の住所と違うのは、場所となるサーバーを変更しても同じ住所が使えるという点です。ここではそのドメインの重要性や取得の際に知っておくべきことをまとめます。

ドメインの重要性

ドメインを取得すると下記のようなメリットがあります。

ごく当たり前のことに思えますが、インターネットの中に居場所を作る意味でとても重要なものです。

  • 自分だけのURLを作ることができる
  • どこにサーバーがあっても良い
  • メールアドレスを作成できる

URLになるドメイン

ドメインはそのままサイトのURL(Uniform Resource Locator)に使われます。「example.com」というドメインを取得した場合、その中のページは下記のようなURLになったりします。

https://example.com/category/news/article.html

このURLがわかれば、世界中どこからでもこのページにアクセスすることができます

ドメインを取得する意味

例えば、ブログサービス「Amebaブログ」を使用してページを作成すると、そのサービスが持っているドメイン「ameblo.jp」を使用することになります。

しばらく利用した後、「使いづらいな」と思い他のブログサービス「ライブドアブログ」へ移動しますが、その際ドメインが「livedoor.com」に変わります。

この移動でURLが変わってしまい、今まで見てくれていた人にはどこへ移行したのかわからなくなります

仕方がないのでAmebaブログの最後の記事に「こちらへ引っ越しました」などリンクを貼ります、よほど熱心な閲覧者以外はその記事を見逃してしまいます。さらにAmebaブログを閉鎖してしまえば完全に移行先がわからず、閲覧者の多くを失ってしまいます。

この例の通り「URL=ページの場所」は一度作成したら変化させないことがとても重要です。Google検索エンジンにとっても変化しないからこそ検索結果として表示できます。

つまりドメインはURLを変化させないために取得するとも言えます。

他人が用意したドメインでサイトを作ってしまうと、後々移動が制限されることになり、サイトが大きく育てば育つほど、移動しづらく、それまでの利用者に迷惑をかけることになります。

将来を考えサイトを大きくしていく場合は独自のドメインの取得は必須です。ドメインさえ所有してしまえば、サイトをどこに移動しても利用者が迷うことはありません

これからしっかりとサイトを作ろうとしている人は必ずドメインを取得しよう!

そもそも何のためにドメインがあるのか?

今はURL(ドメイン)でホームページを開くというのはごく当然のことになっていますが、なぜこのような仕組みになったのか簡単に説明します。

ホームページがあるのは「サーバー」です。世界中にたくさんあるサーバーの中から、特定のサーバーを見つけるにはどうするかという話です。

ここで一つ仕組みが作られました。

インターネットにサーバーを接続する際に必ず数字(IPアドレス)を登録するというものです。

そのルールにより、数字でサーバーを特定しホームページを表示することができるようになりました。実際にページを表示するだけならドメインはなくても構いません。

ただ数字だけで、たくさんのホームページを扱うというのは「人」にとってはとてもわかりづらいものです。

そこでさらに数字に対応した名前をつける仕組みが作られました。

この仕組みを使えば、数字ではなく、わかりやすい名前でサーバーを見つける事ができるようになります。

この名前が「ドメイン」です。そしてこの仕組み全体をDNS(ドメインネームシステム)といいます。

ドメインという名前の構造

取得するドメインは下記のように分解できます。

example.com の場合

  • example : 自由につけられる名前
  • com : ドメインの種類(トップレベルドメイン)

まず「トップレベルドメイン」というものを決定し、次に「example」部分の好きな名前をつけます。

また所有しているドメインの中では、「サブドメイン」という機能でさらに分類することも可能です。

sub.example.com

  • sub : 自由につけられる名前(2)
  • example : 自由につけられる名前(1)
  • com : ドメインの種類(トップレベルドメイン)

これによって一つのドメインを下記のように使い分けることができます。

  • ウェブサーバー「example.com」または「www.example.com」
  • メールサーバー「mail.example.com」
  • テストサーバー「test.example.com」

機能としては、通常のドメインもサブドメインも「特定のサーバー(IPアドレス)を指し示す」という点では同じです。そのためサブドメインも通常のドメインのように使用できます。

ドメインの種類(トップレベルドメイン)

ドメインの種類には下記のようなものがあります。それぞれ取得できる人(法人・組織)が決まっていることもあります。また種類によって料金も異なります。

  • gTLD(分野別トップレベルドメイン) 「.com」など
  • ccTLD (国コードトップレベルドメイン) 「.jp」など
    • セカンドレベルドメイン 「.co.jp」など
  • 新gTLD 「.tokyo」など

誰もが知っている「.com」ドメインは歴史もあって、だんだんと好きな名前で取得できなくなってきたね。だから「.tokyo」みたいな新しいドメインが作られてる。

ドメインの取得方法

ドメインは専用の管理会社で取得します。

サーバーなどと同様に一定期間の利用料を支払う形になります。毎年更新する形が一般的です。

ドメインは早いもの勝ちなので欲しいドメインがあれば取得できるかどうかすぐに確認しましょう

ドメインをどこで取得するか

ドメインは、一般に「ドメイン管理会社」と呼ばれる会社で取得します。以下のような会社です。Googleでも取得可能です。

ドメインの管理会社の中にも階層(レジストリとレジストラなど)があり、実際に管理している会社とその代行業のような違いがあります。ただ一般の利用者にとってはあまり大きな違いはありません。

ドメイン管理会社を選ぶ際の注意点

ドメインの取得と運用に関しては、価格や管理画面の使いやすさで判断して良いと思います。

ただ一つだけ気をつける点があります。

使用するサービスがドメイン管理会社を限定しているケースです

例えば、「カラーミーショップ」というショップサイトのサービスは、同じグループ会社のドメイン管理会社でないとサブドメイン(shop.example.com)を使った運用ができません。またメールサーバーも独自に設定できなくなります。

ドメイン管理会社を決める際、利用するサービスはよくご確認ください。

ドメインを取得しないという選択肢

特別な利用方法であれば、ドメインを取得せずにサイトを運用することも可能です。

IPアドレスでアクセスする

上に書いた通り、インターネットに接続しているサーバーは「IPアドレス」という数字の羅列で特定できるため、もしIPアドレスでサイトにアクセスさせることも可能です

これはテスト的なサイトや、会社内でアクセス制限をかけたサイトなどであれば、わざわざドメインにコストをかける必要はなく、この方法で十分に利用できます。

ただし一般のレンタルサーバーは、一つのIPアドレスに複数のサイトを抱えているため、IPアドレスだけで各サイトへのアクセスはできません。

レンタルサーバーなどが用意するサブドメインを使用する

レンタルサーバーでは申請時に個別のサブドメインを必ず発行します。利用者が独自ドメインを設定するまでの間もサーバーにアクセスできるようにするためです。

これを利用して、そのままサイトを公開することも可能です。ただもちろん他のサーバーへ移行した場合はそのサブドメインは使用できなくなります。

どんなドメインにしたら良いのか?

ドメインの決め方は自由ですが、注意すべき点はあります。少し個人の意見も含みますが、参考までにご覧ください。

  • 日本語のドメインは避ける
    後々必ず使いづらくなります。
  • サイトの名前(会社名やブランド名、店名)と同じものが理想
    できれば「会社名、ブランド名」を考えるという時点で同じドメインが取得できるかどうかを調べましょう。名前が日本語の場合はわかりやすい英語名を考えます。
  • ワードの区切りに記号を入れない
    ハイフンなどの区切りはできるだけ入れないようにしてください。記号を含むドメインは後追いで仕方なく取得した印象になります。
  • 必ずしも短くしなくて良い
    短い方が便利ですが、意味がわからなくなるほど省略するのは問題です。多少長くなったとしても、知らない人がドメインだけを見てサイトをイメージできることの方が重要です。
  • トップレベルドメインは「jp」と「com」を優先
    この部分で料金が変わります。最近は「tokyo」や「gallery」など様々なものが作られていますが、まだ目新しいものを見てドメインだとわかる人は少ないと思います。その点「example.com」などであればドメインだとすぐにわかります。ただ欲しいドメインが「.jp」では取れないなど、どうしてもという場合は「tokyo」など新しいドメインを取得してもよいと思います。

ドメイン維持費用に関する注意点

ドメインを取得する際、注意すべき点として「料金表示」があります

「99円」などかなり安く設定されたドメインを見かけますが、これはほとんどの場合、最初の一年だけです。ドメインの種類によっては翌年の更新で5,000円など桁違いの額になることがあります。価格表は必ず更新料を確認してください

特に新ドメインの中には高額なものも多いため、安い価格で釣ろうとしているケースが多々あります。ご注意ください。

マルチドメインとは

レンタルサーバにはほとんどの場合「マルチドメイン」という機能があり、利用も無制限となっています。

これは一つのアカウント契約でいくらでもドメインを登録できるというものです。つまりサイトをたくさん作ることができるようになります。

ただ無制限とはいえ、実際には様々な制限がかかってきます。ディスク(ストレージ)容量や、転送量など、結果的には一つのアカウントで許容できる使い方が必要になります。

ドメイン取得後の設定方法

ドメインの設定には「ネームサーバー」について理解する必要があります。

上でも説明した通り、ドメインはサーバーを特定するための仕組みです。

普段私たちがサイトへアクセスするという際、ブラウザのアドレスバーにURLを打ち込みますが、これをどこに問い合わせるかといえば、それが「ネームサーバー」です。

ネームサーバーに「ドメイン」を投げると、サーバーの場所となる「数字」を教えてくれます。つまり「ドメイン名」と「数字」の対応表をもったサーバーのことです。

つまりネームサーバーはインターネットの中の住所録のような役割を担っています。

ドメイン管理会社が提供するネームサーバー

まず、どこにあるネームサーバーを使うのかを決める必要があります。

ネームサーバーはドメイン管理会社やレンタルサーバー会社がそれぞれ提供しています。

通常ドメインを取得したら、大抵はそのドメイン管理会社のネームサーバーを利用すると思いますが、ただレンタルサーバーによっては使いやすいネームサーバーが用意されており、そちらを利用するということがあります。

ドメインの管理会社にアクセスした後、どのネームサーバーを利用するかを設定します。

ネームサーバーはとても重要なサーバーのため、各社最低でも2つは用意しています。エックスサーバーの場合は5つ用意されています。

ns1.xserver.jp
ns2.xserver.jp
ns3.xserver.jp
ns4.xserver.jp
ns5.xserver.jp

つまりネームサーバーもサーバーなので時には障害も起こります。これを見越してどれかが停止しても対応できるという形になっています。

ドメインの設定項目

ドメインを取得した後、このネームサーバーに下記のようなことを登録できます。

  • ウェブサイトがどこにあるのか
  • メールサーバーがどこにあるのか、またその優先順位
  • ドメインに関する補足情報

そして設定項目は下記の4つです。

  1. ホスト名
    そのドメインやサブドメインを指定
  2. 種別
    ウェブサイトは「A」、メールサーバーは「MX」など決められた識別子を入力。この種別によってその設定を「Aレコード」などと呼びます。
  3. 内容
    サーバーのIPアドレスやドメイン
  4. 優先度
    メールサーバーの場合のみ(複数のサーバーが想定されているため)

設定方法や項目名は、管理会社によって微妙に異なるので注意しましょう。

ただこの4つだけなので、ウェブサイトがどこにあり、メールサーバーがどこにあるのかを考えると案外簡単に設定できます。

また「ドメインに関する補足情報」と書いたのは、例えば、Googleのサービスを利用する際にドメインの所有を証明するために指定されたコードを書き込むことがあります。そうしたドメインそのものに関する情報も記述できます。


ドメインのまとめ

  • ドメインはサイト内に居場所を作る重要な名前
  • サイトを作るならドメインはほぼ必須
  • ドメイン名の構造を知り、料金の違いを知る
  • ドメイン管理会社の選択は利用するサービスによっては注意が必要
  • ドメイン名の付け方は慎重に
  • ドメインの設定方法は仕組みが理解できれば案外簡単