用途別 ショップ・ECサイト
ショップサイトを作るには、レンタルサーバーではなく、ショップ専用のサービスを利用します。ただしドメインの取得やメールサーバーも必要になるため、レンタルサーバーを利用するケースもあります。そうした判断ができるよう、各ショップサービスの概要やショップサイトを作る手順をご説明します。
ショップサイトに必要な機能を理解する
ショップサイトには下記のような機能が必要です。
- 商品データ管理
- カート機能
- 顧客管理
- マーケティングツール
- サイトデザイン
サイトでは、商品情報を表示し、お客様が購入するというところまでをカバーしてくれます。ただしその前後では、仕組みの検討や準備、また公開後の運用方法の検討など、ショップサイト以外の作業も多くあります。
サイトを作る前の必要な準備
サイトを作るために、前段階として下記のような準備が必要です。
- ショップに合わせたドメインを取得
- 商品情報(写真や説明文)をデータとして用意
- キャッチコピーやSEOの検討
- サイトデザインの方針を検討
- トップページなどのイメージ画像・バナー画像の検討
これらはサイト制作会社など業者と一緒に検討を進める形が一般的ですが、自ら対応するショップも多いと思います。検討だけでもできるだけご自身で進めてみてください。
具体的なショップサービスの種類と特徴
モール系ショップサイトの特徴
楽天、Yahooショッピング、Amazonなどがあります。大きな一つのサイトの中にたくさんのショップが並び、どちらかというと商品ベースで展示されるため、ショップの独自性などは見えません。いずれも大手サイトのため、利用者が多く上手く囲い込みができています。
- 利用者が多く集客力がある点が大きなメリット
- 楽天の場合、導入や運用に大きなコストがかかる
- YahooショッピングやAmazonの場合、導入コストは比較的低いが、サイトデザインができないためブランド表現や独自性を出すことが難しい
- 競争も激しく、同じ商品、また類似商品と常に比較される
- サイトに関してドメインは不要(メールアドレスには必要)
ASP系ショップサイトの特徴
カラーミーショップ、BASE、STORES、Shopifyなどがあります。これらはツールを貸し出すような形で、ここのショップが独自にサイトを立ち上げることをサポートします。ただしあくまでも独立したショップになるため、集客は自ら行います。
- コストを抑えてスタートできる
- デザインの自由度が高く、独自性が出しやすい
- 機能もある程度自由に選ぶことができる
- サイトだけで集客は難しい
- ほとんどの場合、ドメインは必要
ショップサイトでのドメインの重要性
ASP系ショップサイトの場合、独立したショップサイトを運営することになるため、基本的にはドメインを取得すべきです。取得しない方法もありますが、取得することで下記のようなメリットや利用方法があります。
- メールアドレスに必要(Gmailなど使用する場合は不要)
- ASPの場合、ドメインを取得することでサービスを将来変更できる
- ブランディングの一環として印刷物や告知の際に必須
何より独立性を重視してASP系のショップサイトを選んでいるため、ドメインは必須だと思います。特にメールアドレスは、お客様とやり取りする際になくてはならないツールです。
ドメインを取得する場合もショップサイトとメールサーバーは個別に運用できますが、「カラーミーショップ」を利用する場合は注意が必要です。カラーミーショップを利用しメールサーバーを分ける場合は「ムームードメイン」という関連会社でドメインを取得する必要があります。ドメインをどこで取得するかは慎重に検討してください。
メールアドレスに関するいろいろな準備
Gmailなどフリーメールであればコストはかかりませんが、お客様の立場で見た場合、ショップの連絡先がフリーメールというのは信頼性にかなり問題があります。
ドメインを取得すると、そのドメインを使用したメールアドレスが作成できます。ドメインはあまり大きなコストではないため、ドメイン+メールサーバーの利用をおすすめします。
メールサーバーだけを用意する場合
モール系、ASP共にメールアドレスを独自ドメインで利用する場合、下記の選択肢がおすすめです。
- ブランドサイトなどの設置も見据え信頼できるレンタルサーバーを利用する場合は「エックスサーバー」
- できるだけコストを抑えたメール専用サーバー「さくらのメールボックス」
- 安定性を重視し一定のコストをかけられる場合は信頼性のある「Google Workspace」
ショップサイトとメールサーバーも分けることができます。
お客様とのメールのやりとり
お客様とのメールのやりとりとして、下記のような場面が考えられます。
- 受注時(自動返信など)
- 受注確認
- お振込・お支払い確認
- 発送連絡
- フォローメール(購入していただいたお客様に個別の情報提供)
- メールマガジン
ショップによっては必要のない工程もあると思いますが、ほとんどの場合こうした様々なメール配信が必要になります。これら配信するメールの文面も事前に検討する必要があるので早い段階で準備しておきましょう。
ただ「テキストメール」の書き方はややコツがあるため、いくつかサンプルを探し、比較しながら自らのショップにふさわしい内容にしていってください。
メールマガジンでは画像などを表示できる「HTMLメール」を使用することもありますが、思いのほか難しいものなので、少し時間をかけてテストし自分なりに運用しやすい形を作る必要があります。
支払い方法や配送方法など運営に向けた検討
支払い方法の選択と注意すべき点
支払い方法に「クレジットカード決済」は必須です。電子マネーなどもありますが、まだクレジットカードは必須と考えた方が良いと思います。
クレジットカード決済導入の注意点としては、事前の審査によって少しタイムラグのようなものが発生します。審査にはサイトを公開していることや、その中で表示されている「特定商取引法に基づく記載」などがチェック対象となります。そのため公開時にクレジットカード決済が導入できる訳ではなく、その審査が通るまでの間、支払い方法を銀行振込などで一度運用を開始する必要があります。
これは「ショップサイトの公開日」に影響します。審査期間を想定していないと、公開日には銀行振込でしか購入できないということになってしまいます。審査期間を「プレオープン」のような形で公開するなど、段階的なスケジューリングが必要です。
またショップサービスが用意している支払い方法を選ぶとそうした審査がスムースに進められることがあります。事前にサポートに問い合わせるなどしてみてください。
配送方法は在庫管理や配送シミュレーションから検討する
実店舗がある場合の在庫管理
ショップサイトの機能として「在庫管理」がありますが、これは「初めに入力した在庫数」から「購入された数」が引かれていくだけの単純な仕組みです。
ただもし実店舗に同じ商品があるとショップサイトの在庫と同期を取るのが難しくなります。例えば、ショップサイトで売れたと同時に、同じ商品が店舗でも売れてしまい、ショップサイトのお客様へ送る商品がなくなるということは十分考えられます。
もしこの同期が必要な場合は、レジのシステム(POS)から合わせ込む必要があります。「スマレジ」などのサービスを利用しレジとショップサイトを連携させることで実現できます。
ただ既にあるレジを変更しづらいなどの場合、自ら運用ルールを作るしかありません。特に手作りのものなど追加で仕入れられない商品については、実店舗とオンラインショップで在庫を分けるなどします。
配送手順の確認とその外注
配送については、注文を受けてからの工程を実際にシミュレーションする必要があります。
大量の受注があった場合に一括で配送伝票を印刷できるかどうか、また配送完了のメールを一括で配信できるかどうかなど一つ一つ確認が必要です。
あるいは外注に任せるということも可能です。「物流倉庫サービス」「発送代行サービス」などで検索してみてください。こうしたサービスでは倉庫での保管から配送まで全て任せられます。普段Amazonで買い物をしているとイメージしやすいと思いますが、Amazonにも商品を預け配送まで全て任せられるサービスがあります。
ただこうしたサービスは利益を出せるかどうか、かなり細かく調べる必要があります。
様々な配送料に関する検討
地域(都道府県)ごとの配送料についても検討が必要です。もし小さく軽い商品であれば、全国一律にする方が利用者も安心できるなど、コスト以外に購入のしやすさについても併せて検討します。
お買い上げ金額に応じて送料を無料にするという場合も、その金額設定は想定する売上や全国の配送料の平均値など、様々な角度から検討が必要です。
ショップサイトのデザイン
モール系の場合、楽天はほぼ業者に依頼する形になり、YahooやAmazonではデザインはほぼできません。そのため自ら検討することはあまりないかもしれません。
一方、ASP系のサービスの場合は完全に自らのショップサイトになるため、しっかりと検討が必要です。ASPの場合は、大きく下記の3つの方法でデザインすることになります。
- 用意されたデフォルトのテンプレートから選ぶ
- テンプレート内で用意された編集部分をカスタマイズする
- テンプレートをフルカスタマイズする
難易度としては上から順に難しくなります。
「1」でも各サービスが自らの機能にあった形でデザインしていますので十分スタートできるクオリティです。ただし汎用的なデザインであることが多く、せっかく独自性を重視してASP系のショップサイトにしているのに少しもったいない印象です。
「2」は業者に依頼せず、許された範囲ブラウザ上でデザインの変更を行います。クオリティの高い写真やロゴマークなどが準備できている場合、これだけでもある程度の独自性を表現できます。
もし「2」で上手く表現ができない場合は、業者に依頼する「3」の形になると思います。各サービス、ほぼ一からデザインできる場合が多く、完全にオリジナルのショップサイトに作り替えることができます。
いずれも場合も、デザインの前に下記のような点を準備・検討してみてください。
- ショップサイトの「イメージ画像(写真やイラストなど)」の準備(依頼する場合もイメージを伝えられるように)
- 参考にしたい他社・ライバル店のサイトを探し研究する
- アイキャッチとして「ロゴ」が重要になるため手配する(ショップカードなど印刷物も検討)
- 必要な機能を決める(カスタマイズする場合、デザインに反映する機能を決めておく必要があります)
ショップサイトの制作工程
ここまでの内容を踏まえ、サイト制作の手順としては下記のようになります。
- ドメイン取得
- メールアドレスの作成
- ショップサービスと契約
- サイトデザイン
- 各種設定(支払い方法、配送方法、特定商取引法に基づく記載)
- 商品データのアップ
- 運用のテスト
- 公開=運用開始
ショップサイトに限りませんが、公開してからが本格的なスタートです。公開後の集客などマーケティングに関する作業は思いのほか大変だと思います。がんばってください!
ブランドサイト、コーポレートサイトが必要な場合
ショップサイトとは別に、商品ブランドを紹介する独立したサイト、または会社紹介のサイトが必要な場合があります。つまりショップサイトを含め複数のサイトを管理する形になります。
ただ経験的に、2つ以上のサイトを持つことでそれぞれの棲み分けや運用が難しくなることがあります。閲覧者が混乱するという可能性もあります。メリット・デメリットを洗い出し本当に必要かどうか検討してください。
例えば、ブランドサイトを立ち上げたいという場合も、ショップサイト内でブランドイメージを伝えることはある程度可能です。一時的なものであれば特に必要ないという判断もあり得ます。
ショップ・ECサイトのまとめ
- ショップサイトの機能を理解して、その準備の仕方や運用方法を知る
- ショップサービスの種類とその特徴を把握していずれかに決定する
- ドメイン、メールアドレスの重要性を確認
- 支払い方法や配送方法について実際の工程を踏まえ検討する
- 予算や作業量に合わせてどこまでサイトをデザインするか検討する
- ブランドサイト、コーポレートサイトを並行して運用すべきか検討する