スペック解説 メールサーバー
メールサーバの機能は各社ほぼ横並びです。そのためスペックの違いで選ぶのは難しいと思います。ただメールを利用する場合、一度使い始めると将来レンタルサーバーを動かすことがとても困難になります。レンタルサーバーの信頼性を踏まえて慎重に選ぶようにしてください。
メールサーバーの重要性
レンタルサーバーでメールを利用することはとても簡単です。設定した独自ドメインで自由に作成可能です。またほとんどのレンタルサーバーでは無制限にメールアドレスを作ることもできます。
ただし一度使い始めるとレンタルサーバーの中にメールがどんどん溜まっていきます。特にショップサイトなど運営していると、受注メールやお客様からのお問い合わせなど膨大なメールのやりとりが発生します。
そのうち重要なメールもそうでないメールも区別なくたくさん溜まっていきます。一つのメールアドレスで10GBほどの容量を使うこともよくあります。
そうなった場合、問題になるのが他のレンタルサーバーへの移行です。ウェブサイトの移行よりも相当な手間がかかります。
なぜなら、各社レンタルサーバーも「メールの移行ツール」を用意していないため、手作業で移動するしかありません。もしも会社などの組織でメールを運用している場合、社員全員の移動になり相当困難になります。
そのためメールサーバーを利用する場合は、レンタルサーバーそのものの選び方がより重要になります。一度利用し始めたら簡単には動けないということを念頭に、メールサーバーとしてのスペックだけでなく、サーバー全体の機能や信頼性を踏まえて慎重に選ぶようにしてください。
メールサーバーとして確認すべきスペック
始めに書いた通り、各社メールサーバーとしてのスペックはほぼ同様なので、比較する必要はあまりないと思いますが、特に重要なスペックだけを以下にまとめます。検討しているレンタルサーバーで確認してみてください。
- アンチウィルス機能
- 通信の暗号化(SMTP over SSLなど)
- SMTP-AUTH(送信時に必ずユーザー認証を行う)
- 自動バックアップにメールデータが含まれているか
IMAPを使用する場合はサーバ容量を確認する
メールの受信方法は主にPOPとIMAPがあります。
- POP:メールをダウンロードする
- IMAP:サーバ上のメールを閲覧する
実際には同じような使い方もできますが、一つのメールアドレスをPCやスマホなど様々な端末でアクセスする場合は、IMAPで受信する方がよいと思います。
ただIMAPの場合はサーバ上にメールを保管することが前提のため、サーバの容量に注意する必要があります。
メールのアカウント数と容量の確保
メールアドレスは無制限に作成できますが、サーバーのデータ容量には上限があります。メールがどんどん増えていくとディスク容量も圧迫していくことになります。
そのためサーバの総容量を踏まえながら、メールアカウントごとの上限を設定することになります。
もし100人の社員がいる会社でメールアドレスを管理する場合、一人の上限を仮に5GBとすると合計で500GB必要という計算になります。
あくまでも上限なのですぐにいっぱいになるということはありませんが、一応の想定としてそれだけの容量を確保しておく必要があります。もちろんウェブサイトなどメール以外の容量も必要です。
レンタルサーバでメールを利用するデメリット
サイトと同じサーバーを利用するということ
ほとんどのレンタルサーバは「ウェブサイト」と「メール」の二つを軸に設計されています。
ただ全く別の機能なので、安全性などを考えると同じ一つのサーバーの中で二つを運用するということに、どうしてもリスクは伴います。簡単な例としては、もしサーバーに障害があれば、どちらも一切使えなくなってしまいます。
大切なメールを、サイトと同じレンタルサーバで運用すべきかどうか、他の選択肢についても十分に検討した方が良いと思います。
移動しづらいメールデータ
上にも記載した通り、送受信したメールは動かしづらいという面があります。実際にメールサーバーを移行する場合、下記のような作業やトラブルが発生します。
- 過去に送受信したメールデータを移行するにはIMAPなどを利用して手作業で移動することに。
- 移行後も旧サーバにメールが配信される可能性があるため、しばらくは旧サーバのメール受信も確認する必要がある。
- メールソフトの設定が全て変更される。PCやスマホでの設定を全て変える必要がある。
- ショップサイトを運営している場合、注文メールなどで上記の問題が重なるとトラブルになりやすい。
おすすめのメールサーバ構成
一番のおすすめは「サイト」と「メール」でサーバーを分けること
ある程度コストはかかりますが、二つのサーバーを持ち、一方でサイトを一方でメールを運用します。
サーバーを分けるメリット
- どちらかのサーバーに障害があっても一方に影響はないためリスク分散できる
- サーバーを移行したい場合、サイトならサイトのみを移行できる。
- 「Google Workspace」のようなサービスを利用できる
「Google Workspace」は一般のGoogleアカウントと同等の機能を独自ドメインで利用でき、安定性はかなり高くなります。GoogleドキュメントなどMS Officeに匹敵するクラウド上のサービスも利用できます。メールサーバーをサイト用のサーバーと切り分けることを考える場合は一番におすすめできるサービスです
レンタルサーバーを利用する場合
実際はコストも重要なため、レンタルサーバーでサイトもメールも運用するというケースが多いと思います。その場合は、そのサーバーをずっと使用できるかどうかという信頼性や安定性を判断する必要があります。とは言え、最も難しい部分です。
このサイトではいろいろな面から「エックスサーバー」をおすすめしていますが、その一番の理由は自らの経験も踏まえた「信頼性」です。メールサーバーとしても安心してお勧めできます。
他のサーバーを検討されている場合も口コミなど参考に慎重に探してみてください。
メールサーバーのまとめ
- メールを利用する場合は、サーバーの選び方がより重要に
- IMAPによる受信方法の場合、サーバの容量に注意
- レンタルサーバでのメール運用にはデメリットもある
- メールサーバの移行はかなり大変
- ウェブサイトとメールを分けて管理するとよい
- メールサービスを利用する場合、Google Workspaceがおすすめ